2009年12月01日 7:55 pm JST
日銀が1日の臨時金融政策決定会合で、10兆円規模の新型オペの導入を決めた。白川方明総裁は同日の会見で「今回の措置は広い意味で量的緩和」と述べるとともに0.1%に据え置いた政策金利は「多くの国で実質ゼロ金利と判断している」と語った。
外為市場も反応し、ドル/円は1日夕に87円台を回復する場面もあった。長期金利もいったん1.195%まで低下し、1.120%で取引を終えた。日経平均は9500円台を回復した。
だが、市場関係者の中には「小出しの印象」(国内市場関係者)という声も少なくない。17、18日の金融政策決定会合を前に、臨時の決定会合を決断したことで「日銀も清水の舞台から飛び降りたのだろう」(邦銀関係者)と、ついに長期国債の買い入れ増を決断したとの見方もマーケットに広がった。
それだけに「決断したわりには、地味な内容ではないか」との見方も広がりやすく、日銀の決定発表後、白川総裁の会見を受けて、金融市場は価格が上下に振れた。
日銀も円高の進展によるデフレの深刻化を懸念し、一歩踏み込んで現状をデフレと認定した。また、果敢に対応しようとし、実際に新たな対応を発表をしたことも強いメッセージになったと思う。
ただ、無担保コールコール翌日物のレートを0.1%に据え置いたことで、10兆円のオペを実行しても、日々の金融調節で資金が吸収され、結果として日銀が市場に放出しているマネーの量があまり増えないのであれば、「広い意味での量的緩和」というのは、やや誇大な印象を与えるリスクがある。
日銀が毎日発表している準備預金残高は、1日朝が8兆7000億円。所要準備の約4兆5000億円を4兆円以上も超えて資金供給されているので、広い意味で量的緩和だろうが、その度合いが、今回の新型オペで強化されるとは思えない、という声が短期金融市場関係者から漏れてくる。
日銀が準備預金残高を大幅に増やせば、量的緩和は強化されるだろうが、政策金利は0.1%を割り込むだろう。
この先、円高が再び強まったり、株価の急落に象徴される景気後退の兆しが鮮明になれば、日銀がいよいよ次のカードを出すことになると思うが、どうだろうか。
(写真/ロイター)
2009年11月30日 4:05 pm JST
将棋好きの息子にせがまれて「JT将棋日本シリーズ」というイベントに連れて行った。
このイベント、冠にあるようにJTが協賛、間近で観戦できるプロの公式戦で今回が30回目となる。それと同時に8年前から開催しているのが「こども大会」で、プロ棋士の真剣勝負を観戦するとともに、実際に指してみる──これらを通じて「将棋のチカラでココロを育てたい」というテーマを掲げているイベントだ。
チビッ子棋士と父兄、将棋ファンが大勢詰め掛けた中、持ち味である「光速の寄せ」で谷川浩司九段が制したJT将棋日本シリーズの決勝戦。こども大会ではトーナメント上位に進出したほとんどが男の子となる中で、高学年決勝で敗れながらも奮戦した女の子が表彰式でゲストの羽生善治名人から、はにかみながら賞状を受け取っていたのが印象的だった。
同シリーズはJTのメセナ活動であるのは言うまでもない。ただ、単に社会貢献活動というのにとどまらず、イメージアップや宣伝効果をもたらす。大会参加者に配られるドリンクは「桃の天然水」などのJT製品。会場の片隅にJTが完全子会社にした加ト吉の冷凍食品試食コーナーがあったのはご愛嬌か。
イベントに足を運んでみて、ふと思ったことがある。トヨタやホンダのF1撤退をはじめ、景気悪化を背景とした急激な業績悪化から企業が文化活動を取り止めるケースが目立つこのご時世、仮にたばこ税が大幅に引き上げられるなど経営環境が悪化するとしたら、親子で楽しめるこのイベントをJTは続けてくれるのだろうか、という点だ。
メセナ活動は利潤を追求することのみを念頭に置けば「無駄」とみることもできる。しかし、現実には社会貢献度の高い活動ならば、一方的に株主から「止めろ」コールが起きるとは考えにくい。
「無駄」のほか、「費用対効果」「経済合理性」──民間企業だけではなく、仕分け作業によって国の事業についても、これらのキーワードから事業を見直そうとする動きが加速している。中には作業で廃止対象となりながらも、これらの言葉で割り切ってしまってはならない──そんな意見が出ている事業も少なくないようだ。
国や企業にかかわらず、誰が見ても明らかに「無駄」な事業や活動も多いのも事実だろう。だが、「無駄」が景気を上向かせる材料となったり、世の中を豊かにする例もないとは言えない。何をもって「無駄」と判じられたのか、官民を問わず再考していいケースも少なからずあるのではないか。
(写真/ロイター)
2009年11月27日 5:51 pm JST
日経平均が9000円割れ寸前まで下げて、週をまたぐことになった。デフレ基調の国内経済に対して急速な円高が進んだところに、新たに「ドバイショック」も加わった。ある国内市場関係者は「日本株は売り材料ばかりで、八方ふさがりだ」と述べる。
別の市場関係者によると、TOPIXは811.01ポイントと低迷し、年初来安値の銘柄が続出している中小型株などを含めると「取引の実感としては、日経平均で7000円くらいまで下がっているとても悲惨な相場環境だ」と話す。
株安/長期金利低下と経済の体温が急速に低下しているのは明らかだ。デフレの色彩を強める方向に作用する円高は、原因が米国の超低金利長期化の見通しに起源を発するドル安である以上、日本が主体的にできることは限られる。
ここまで市場環境が変化してきた以上、「異例の事態の非常対応」とし
て、大規模な財政出動による「デフレ総合対策」を政府が打ち出し、明確なメッセージを出すことが求められているように思える。
まず、実行に移すべきは2009年度2次補正予算案の規模をこれまで提唱してきた3兆円未満ではなく、6-7兆円の規模に膨らませることだ。エコノミストの中からは「定率減税を実施して個人消費を喚起するべきだ」という声も出てきている。
一時は放漫財政を懸念して1.5%近くまで上がってきた長期金利も、27日には1.245%まで低下した。財政プレミアムよりもデフレへの懸念が、市場に広がっている。
実際、銀行勢は投資先がなく「国債に資金を振り向けるしかない」(邦銀関係者)との声が多く、国債増発を消化できるとの見方が多くなっている。
「こんなに経済音痴とは思っていなかった」という声がマーケットでは漏れてきている。鳩山内閣の強いメッセージが出れば、意外感から相場の様子が変化することがあるかもしれない。
(写真/ロイター)